執筆者: 木ノ下 千栄(きのした ちえ) | ||
◆大晦日の京都人
師走の名の通り、誰もかれもが忙しい12月。京都の人々も気持ち新たに年を迎えるため、様々な用意に明け暮れます。中でも1年最後の締めくくりとして大切なのが、八坂さんの「をけらまいり」なのです。 これは年頭に八坂神社の氏神さまの御火を頂く行事で、12月31日の大晦日から元旦の早朝にかけて行われます。八坂さんでは境内に「をけら火」という、神前に捧げた浄火がかがり火(をけら灯篭)として焚かれます。この火で元旦の雑煮をたいて食べると、その年1年を無病息災で過ごせると言われており、参拝者は吉兆縄に火をともし、火が消えてしまわないように、縄をくるくるまわしながら家に持ち帰ります。 本来はこの神火は「おくどさん」(かまど)に入れて種火として使うのですが、今では「おくどさん」の残る家も少ないですし、最近では各電鉄が安全のために「をけら火」の持ち込みを禁止しているので、残念ながら実際持ち帰るのは市内近辺の人に限られてしまうようです。しかし、数万人の人々が神様の火をいただこうと、活気にあふれるこの情景は、本当に壮観!京都の大晦日の醍醐味かもしれません。 「をけら」は漢字で書くと「朮」と書きます。見慣れませんね。をけらとはキク科の多年生植物で、漢方薬にも使われています。1年の邪気を取り払うと言われ、お正月に飲むお屠蘇(とそ)の原料にもされます。 屠蘇はもともと中国の風習で、平安時代に伝わりました。三角の袋に山椒、防風(ぼうふう)、大黄(だいおう)など10数種類の薬草を調合し、酒に浸して飲みます。邪気をほふり、魂をよみがえらせるところから「屠蘇」の名がついたといわれます。無病息災、家運反映を祈ってお正月に飲みます。 ◆場所・日時(※各行事の日程は、天候等の理由で変更になる場合があります。)八坂神社(京都府京都市東山区祇園町北側625)/毎年12月31日〜1月1日
◆交通 ・市バス「祇園」下車 |
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