創業 慶応元年 京菓子の老舗 甘春堂
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和菓子の道具

和菓子の道具

執筆者: 木ノ下 千栄(きのした ちえ)
◆「黒文字」
 
和菓子が大好きな方には、菓子に使う楊枝も和風にしておられる方が多いかも知れません。
せっかくおいしい和菓子を買ってきたのに、冷たい西洋フォークで食べるのはちょっと味けないですよね。特に、お客様にお出しするときなど、やはり道具にもこだわりたいもの。
 
一般的に和菓子は、薯蕷(上用)まんじゅうなど手で割って頂く御菓子以外は菓子楊枝で頂きます。菓子楊枝といっても、形は様々・・・。代表的なものは、よくお茶席ででてくる「黒文字」です。その他に竹の細工の楊枝、またフォーク型の塗り物、青竹を細く切った楊枝などがあります。                   (上:フォーク型の塗り物の菓子楊枝 拡大写真
                               
 
さて、この「黒文字」。実はそのまま、木の名前なのだそうです。樹皮に芳香がある落葉低木で、これを削ってスティック状にしたものを私たちは使っています。黒文字の長さ・種類は、10センチ程度の細く短いものから、本格的に茶席で使う取り箸サイズまであります。    (右:様々な長さの黒文字 拡大写真) 

基本的に、黒文字の長さはお皿や御菓子とのバランスを見て決めますが、普通15センチくらいのものが使いやすく、美しく見えるとされています。しかし家庭で使う皿の場合には、この長さはちょっと仰々しいかも知れません。かといって、短すぎるのも使いにくいので、だいたい10〜13センチのものでも十分でしょう。また、菓子の大きさや種類、また茶道の流派によって、黒文字の大きさや種類は変わります。
お出しするときは、お客様に平行になるように置きます。
「この御菓子にはどの菓子楊枝を合わせようかな?」と考えてみると、和菓子の時間が更に楽しくなりますね。

ところで、茶席で使われる黒文字は、懐紙に包んで持って帰ります。そして、帰ってから、楊枝の裏に日付や茶会の場所、菓子の銘などを記し、記念にします。なんだか、「食」に対する日本人の思い入れが伝わってくるような作法ですね。

 [一工夫]
黒文字は、切りたてが最上と言われます。しかし、家庭ではなかなか、難しい要求ですよね。そこで、使う前に水に浸して、色と香りを引き立てることが大切です。竹製のものも、水で清め、押さえぶきをして、ぬれを見せてお皿に添えます。これは、あんや皮がくっつかないようにとの配慮もあります。同様に、白木の皿や、盆も水で清めます。             拡大写真

[菓子楊枝のアレコレ]
最近では銀の菓子楊枝もあり、季節やお皿に合わせて選ぶと素敵です。例えば、青竹、銀の楊枝は夏向きです。また、銀の菓子楊枝を使う場合は、塗りのお皿と合わせないようにします。これは塗りのお皿が傷んでしまうからです。

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